飛翔訓練と放鳥のタイミング
野鳥を捕まえたり飼育することは、法律で禁止されています!
スズメは人間の近くでしか暮らせない鳥です。
その上、近年日本人の住宅事情が変わってきて(昔のように「木造瓦ぶき、木製の雨戸つき」みたいな家が減って)、巣を作れる場所が減ってしまいました。
少し狭くても、少し不安定でもスズメは営巣せざるを得ないので、せっかく卵から孵っても落ちてしまう雛がいます。
調査によると、スズメの数は減っているのです。
(5月 善意の餌場で)
【飛翔訓練】
鳥かごの中ででもバタバタして翼を動かす仕草が増えてきたら、飛ぶためのトレーニングを始めます。
初めは手の中で上下に動かして、羽ばたきの練習をさせましょう。
初めての飛行はほぼ落下状態で、着地も胴体着陸になるので、お布団や毛布に着地できれば最高です。
(ただ、飛ぶときには緊張からか身体を軽くするためか、フンを飛ばすので要注意です!)
毎日少しずつ訓練すれば、すぐに筋力がついて、うまく飛べるようになっていきます。
放鳥している間は絶対に目を離さないようにしましょう。
【放鳥の時期】
巣立ち雛を保護した場合は、周りで親スズメが騒いでいるはずです。
ただ、雛は低体温に陥って動けなかったり、栄養不足で動けなかったり、怪我をして動けなくなっているかもしれません。
数日の間、我が家に連れて帰って面倒を見たとしても、元気になったらなるべく早く同じ場所に連れてきて、親と再会させましょう。
親子で鳴き交わして、子スズメは元気に飛んでいくはずです。
目があかない雛から育てた場合、親子の再会は望めません。
一人で皮付きシードが食べられて、ミルワームなどの昆虫も食べられるようにしてから放鳥しないと、自然界では誰も面倒を見てくれません。
でも、スズメは集団で行動するので、うまく集団の仲間入りができれば、自然界での食べ物や危険回避なども学習していきます。
仲間入りがうまくいくように、手助けし見守ってあげましょう。
スズメは頭が良く、個性的です。
積極的に外に出たがる子もいれば、外を怖がる内弁慶もいます。
初めての冬越しは雛にとっては大変な試練なので、2年目の春まで待ってもいいと思います。
保護したスズメの鳥かごを窓際に置いておけば、外のスズメが呼びに来るかもしれません。
春はつがいになる季節なので、仲間のさえずりに影響を受けて自立心が芽生えるかもしれません。
仲間と呼び交わし、外スズメが様子を見にきていたらているなら、放鳥のタイミングです。
放鳥した後もスズメは餌を求めて戻って来るかもしれないので、ベランダや庭先に餌を置いて、しばらくは「外泊暮らし」のように生活するのもいいでしょう。
徐々に自然の中で生きていく術を学んで、逞しくなっていきます。
(1月 雪が積もった朝)
【最後に】
鳥は賢く、したたかです。
生きて行くために必要なことは学習し、記憶し、無駄にしません。
義理人情に縛られて生活しているわけでもありません。
保護したスズメが私たちにすり寄ってくるのは、私たちが「餌をくれる人」で「ここは安全なところ」だからで、それ以外のナニモノでもありません。
本来、彼らには私たちが踏み込めない世界があり、そこで暮らす方が色鮮やかで生きがいがある世界なのです。
私たちは、彼らが大空の下でスズメらしく、きらめく生命を全うできることを祈りましょう。
...でも、怪我をしていたり障害があったりして、自然に帰せない場合もあるのでは...?
それは別の機会に....