スズメ、拾っちゃった

道に落ちた小さな命を、再び大空に帰すために、お医者さんから聞いた話や私の経験をお伝えさせてもらいます。「私流」ご容赦ください。

飛翔訓練と放鳥のタイミング

野鳥を捕まえたり飼育することは、法律で禁止されています!

スズメは人間の近くでしか暮らせない鳥です。

その上、近年日本人の住宅事情が変わってきて(昔のように「木造瓦ぶき、木製の雨戸つき」みたいな家が減って)、巣を作れる場所が減ってしまいました。

少し狭くても、少し不安定でもスズメは営巣せざるを得ないので、せっかく卵から孵っても落ちてしまう雛がいます。

調査によると、スズメの数は減っているのです。

  

f:id:nikosuzumemi:20190428122921j:plain(5月 善意の餌場で)

 

 

【飛翔訓練】 

鳥かごの中ででもバタバタして翼を動かす仕草が増えてきたら、飛ぶためのトレーニングを始めます。

 

初めは手の中で上下に動かして、羽ばたきの練習をさせましょう。

 

初めての飛行はほぼ落下状態で、着地も胴体着陸になるので、お布団や毛布に着地できれば最高です。

(ただ、飛ぶときには緊張からか身体を軽くするためか、フンを飛ばすので要注意です!)

 

毎日少しずつ訓練すれば、すぐに筋力がついて、うまく飛べるようになっていきます。

 

放鳥している間は絶対に目を離さないようにしましょう。

 

 

【放鳥の時期】 

巣立ち雛を保護した場合は、周りで親スズメが騒いでいるはずです。

ただ、雛は低体温に陥って動けなかったり、栄養不足で動けなかったり、怪我をして動けなくなっているかもしれません。 

数日の間、我が家に連れて帰って面倒を見たとしても、元気になったらなるべく早く同じ場所に連れてきて、親と再会させましょう。

親子で鳴き交わして、子スズメは元気に飛んでいくはずです。

 

目があかない雛から育てた場合、親子の再会は望めません。

一人で皮付きシードが食べられて、ミルワームなどの昆虫も食べられるようにしてから放鳥しないと、自然界では誰も面倒を見てくれません。

でも、スズメは集団で行動するので、うまく集団の仲間入りができれば、自然界での食べ物や危険回避なども学習していきます。

仲間入りがうまくいくように、手助けし見守ってあげましょう。

 

スズメは頭が良く、個性的です。

積極的に外に出たがる子もいれば、外を怖がる内弁慶もいます。

初めての冬越しは雛にとっては大変な試練なので、2年目の春まで待ってもいいと思います。

保護したスズメの鳥かごを窓際に置いておけば、外のスズメが呼びに来るかもしれません。

春はつがいになる季節なので、仲間のさえずりに影響を受けて自立心が芽生えるかもしれません。

仲間と呼び交わし、外スズメが様子を見にきていたらているなら、放鳥のタイミングです。

 

放鳥した後もスズメは餌を求めて戻って来るかもしれないので、ベランダや庭先に餌を置いて、しばらくは「外泊暮らし」のように生活するのもいいでしょう。

徐々に自然の中で生きていく術を学んで、逞しくなっていきます。

 

 

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(1月 雪が積もった朝)

 

 

【最後に】

鳥は賢く、したたかです。

生きて行くために必要なことは学習し、記憶し、無駄にしません。

義理人情に縛られて生活しているわけでもありません。

保護したスズメが私たちにすり寄ってくるのは、私たちが「餌をくれる人」で「ここは安全なところ」だからで、それ以外のナニモノでもありません。

本来、彼らには私たちが踏み込めない世界があり、そこで暮らす方が色鮮やかで生きがいがある世界なのです。

私たちは、彼らが大空の下でスズメらしく、きらめく生命を全うできることを祈りましょう。

 

 

...でも、怪我をしていたり障害があったりして、自然に帰せない場合もあるのでは...?

 

それは別の機会に.... 

 

 

 

 

 

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