スズメの雛は何を食べるの?
野鳥を捕まえたり飼育することは、法律で禁止されています!
「スズメの雛を拾ってしまったけれど、何を食べさせたらいいの?」
スズメといえば「お米を食べる害鳥」と思われている方も多いかもしれません。
事実、田んぼにはスズメがいっぱいいます。
スズメは、稲が受粉して実を結ぶ前の柔らかいミルクは好きです。
だからと言ってスズメを駆除してしまうと....
これは他の国の話ですが、穀倉地帯のスズメを一掃した後で、雑草が増えイナゴが大発生して、作物は大被害を受けてしまったのです。
実際はスズメは雑草の種子を好んで食べ、バッタやイナゴを食べ、自然界のバランスをとる大切な仕事をしています。
特に、子育ての時期(春から夏)は親鳥はセッセと昆虫を捕まえて、雛に与えます。
(11月の陽だまりで)
【餌】
巣立ったばかりの雛は、親と一緒に行動しながらほとんどの餌を親から貰います。
食事時間は、日の出から日没まで!
15分から30分間隔で、食べさせ続けなければなりません。
(孵化から3週間ほどは、こういう生活が続きます。)
手に入り易く、食べさせて安心なものとしては、
ペットショップやホームセンターなどで売っている「ひな用練り餌」です。
他に、小さくカットしたゆで卵も可能です。
パンは、食塩やバターなどの油が含まれていてよくありません。
果物も、糖分が多いので食べ過ぎに注意です。
雛は成長のためにタンパク質を必要としていますが、牛乳は脂肪分も高く....、スズメは大人になっても牛乳は飲みません!
ワイルドでも大丈夫な方は、
バッタ、ミミズ、アオムシなど
ペットショップやホームセンターで売っている「小さいミルワーム」
昆虫の場合の基準は「樹木につく虫より、緑の雑草を食べるもの」の方が良いと思います。
雛は何でも丸呑みしますが、内臓は弱く、消化力も弱く、吐き出す力も弱いです。
喉に引っかかりそうなものは(バッタの足や羽など)は食べさせないようにしましょう。
ミルワームの場合は、購入したら「小松菜、チンゲンサイ」などの野菜を食べさせて、それを雛に食べさせます。
雛には緑黄色野菜(ほうれん草はNG)を食べさせたいので、緑黄色野菜を食べたミルワームを雛に食べさせて、緑黄色野菜の栄養成分を摂取する、という塩梅です。
ミルワームは、気温25度くらいで活発に活動します。
冷蔵庫に入れると休眠してしまいますし、暑すぎるとバテてしまい、餌を食べなくなります。
もしも蛹になってしまった場合でも、白い蛹は柔らかいので、硬い部分を取り除けば雛に食べさせても問題ありません。
虫を食べさせる時の注意点として、頭は必ず潰してください。
葉っぱを食いちぎる強力な口で、雛の消化器を食いちぎってしまい、最悪の場合雛は死んでしまいます!
雛は体を作るためにタンパク質を必要としています。
「スズメはお米を食べるから...」と穀物ばかり食べさせると、筋肉や骨ができず成長に悪影響が出ます。
「春と夏のスズメは虫を食べる益鳥」と言われているのは、子育てのためにたくさんの昆虫を捕まえることに由来します。
いろいろ書きましたが、実際のスズメは巣立ち雛の口に苔(コケ)も放り込むし、アリも蜘蛛も食べさせることがあります。
【どうやって食べさせるの?】
ペットショップやホームセンターには「育ての親セット」「フードポンプ」というのがあります。
コレは、目が開いていない雛に流動食を与える時にはとても有効です。
でも、コーヒーショップの使い捨てのスプーン(かき混ぜる小さなスプーン)でも代用できます。
巣立ち雛になれば割り箸の先を細く削って使ったり、ピンセットでも餌を与えることもできます。
喉を詰まらせない大きさの餌を「口の中に押し込む」感じで入れないと、うまく食べられません。
基本的に水は飲まさなくていいですが、餌に水を混ぜて飲み込みやすい流動食のような柔らかさにしましょう。
【食事の量】
食べた餌は、まず「そのう」という消化器に入ります。
雛の喉がプクンと膨らんで、食べた物の色が透けて見えてギョッとしますが、正常です!
必ず「そのう」が膨らむまで、餌を食べさせましょう。
「ピーピー」と大声で叫んでいるのは、空腹のサインです。
餌を食べさせてあげてください。
(1月 餌が少なくて小枝に刺した柿も食べる)
【さし餌からの自立】
巣立ち雛(一通り羽根が生えて鳥らしくなった雛)の状態になったら、さし餌とは別に「皮むきミックスシード」を水でふやかして鳥かごに置いてみましょう。
初めはつついて遊んでいるだけかもしれませんが、シードを啄ばむことは、自立への第一歩です。
シードの場合、皮の周りに栄養があるので「皮付きシード」の方が栄養豊富なのですが、初めはうまく皮を剥くことが出来ず、食べられません。
シードが食べられるようになってきたらさし餌を減らしていきますが、シードでは栄養が不十分なので「虫」も食べさせてあげてください。
「虫は無理....」という方は、鳥用ペレットの「ネオフード超小粒」をお勧めします。
「皮付きシード」が食べられるようになったら(食べカスとして皮が散らかることで、うまく食べているかどうか、わかります)、気分転換と遊び道具にもなる「粟穂」を鳥かごの中に入れてもいいでしょう。
この頃には、自分でミルワームも食べられるようになっているはずです。
「ネオフード」は「小鳥の総合栄養食」で、ドッグフードやキャットフードのようなペレット食です。
「毎日の食事はネオフードと新鮮な水があれば充分」ということになっていますが、「青菜とシードも食べさせてください!」と言われる獣医師も多かったです。
雛に餌を与えなければならないのは「日の出から日没まで、15分から30分ごと」です。
かなりの覚悟と環境が整わなければ、人間が雛に餌を与え続けることは至難の技です。
巣立ちを待たずに間違って巣から落ちてしまった雛の場合で、親が近くで呼んでいるのであれば(巣が高いところにあって返すことが出来ない場合は、ベランダなどに仮の巣を作って雛を入れ、親鳥に給仕させて巣立ちさせる方法も可能かもしれません。
次回は「動物病院と健康管理」の話をします。