スズメ、拾っちゃった

道に落ちた小さな命を、再び大空に帰すために、お医者さんから聞いた話や私の経験をお伝えさせてもらいます。「私流」ご容赦ください。

動物病院とスズメの健康管理

野鳥を捕まえたり飼育することは、法律で禁止されています!

同じようにペットショップで売られていても、鳥類と哺乳類は全く違う生き物です。

 

分岐分類学の上では、2019年現在、鳥類は恐竜から直接進化した動物と認識されています。

言い方を変えれば「恐竜の一部は『鳥』と呼ばれて現代に生きている」ということです。

(松原始「カラスの悪だくみ」より)

 

あんなに小さなスズメでも、飼育下では10年越えの寿命があります(哺乳類のハムスターなどでは3年ほどでしょうか...)

大型のカラスに至っては、飼育下では60年生きた記録もあるそうです。

なぜこんなに長生きなのか、鳥についてはわからないことがたくさんあります。

それは、鳥が持っている病気についても言えることです。

 

鳥が持っている病気は人間に感染する可能性もあるので、鳥のフンはこまめに掃除し鳥を触った後は必ず手洗いをしましょう。

過剰なスキンシップも気をつけましょう。

 

【動物病院】

拾ったスズメをすぐに(4〜5日以内)に放鳥できる場合はいいと思いますが、1週間を超えて面倒を見なければならない場合は、動物病院で健康診断をしてもらった方が安心です。

 

足が不自然に曲がっていたり、翼が垂れていたり、お尻周りの羽が汚れている(下痢をしているので、この場合は特に取り扱いに注意してください。鳥のフンには病原菌が含まれている可能性が高いです)nなどの場合も病院の診察を受けましょう。

 

ただ、鳥類を専門に勉強されている先生はとても少なく、ましてや「鳥専門病院」でも野鳥を診察することは法律違反なので「野鳥は診察しません!」という病院もたくさんあります(ほとんどがそうです)。

受診前には必ず電話で確認してから、病院に行きましょう。

逆に、普通の病院でも野生動物を診察してくれる病院もあります。

診てくれるといっても、ケージ越しに眺めているだけの病院もありましたし、翼や脚やお腹を触診してくれる病院もあり、獣医師の先生の考え方それぞれです。

 

私の場合は高速道路のドライブで1時間以上かかりましたが、気持ちよく診察してくれる病院と出会え、「野鳥は初回1回のみ、検便検査は無料」、ビタミン剤の飲み薬や抗生剤の目薬を処方していただいたり、3週間に1回は爪切り、クチバシも削っていただいていました。

 

連れて行く際の注意としては、小さなケージに移し、真っ暗にして連れて行く。

ケージの温度管理と、餌と飲み水の管理に注意することです。

病院によっては、「日頃生活している鳥カゴごと持ってきてください」というところもありますが、カバーをかけるなど真っ暗にして運ぶことをお勧めします。

景色が変わったり(トンネルなどで)光線が変わったりすると、パニックを起こしてケージ内で暴れて、思わぬ怪我(脚や翼の骨折)をしまうことがあります。

 

診てくれる病院は少ないですが、はじめに「かかりつけ病院」を探しておくと安心です。

  

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(12月の夕方) 

 

【日頃の健康管理】 

雛が巣立つ5月や6月は、朝夕に冷え込む日があります。

雛が膨らんで声も出せずにうずくまっているような時は、まず温めて様子を見ましょう。

温度が低くて体調不良になっただけなら、捕まえてお日様の温もりを与えれば、すぐに元気になります。

温めても調子が戻らず、目を閉じてしまった場合は、砂糖水を嘴に垂らして、すぐに病院に連れて行きましょう。

 

「羽根も綺麗な方が気持ちいいよね!」と、無理に水浴びをさせてはいけません。

「まだ寒いから、お湯で水浴びしようか!石鹸で洗おうね!」も厳禁です。

雛はうまく毛繕いが出来ません。

鳥は自分のお尻周りからでるワックスを羽根につけています。

毛繕いが出来ない雛の羽根にはワックスが付いていないので、水につかるとビショビショになって、急激に体温が下がってしまいます。

お湯や石鹸も雛の羽根や体から脂分を奪ってしまうので、絶対にやってはいけません。

 

後で書きますが、自然に戻す前には飛行訓練もしなければなりません。

その際でも、キッチンと寝室には入れないようにしましょう。

調理中の熱湯や高温の油の中に落ちて、足を失う事故は多いです。

気づかずに踏みつける、扉を閉めたら挟まった、テーブルに肘をついたら押しつぶした、食べてはいけないものを口にして中毒を起こした、脚や翼がものに挟まって骨折した......布団や毛布の隙間に入り込んで昼寝をしているスズメを見つけることは至難の技です。

放鳥中は事故が起こりやすいので、決して目を離してはいけません。

放鳥中はカゴの外で餌を食べさせないようにしましょう。

「餌は鳥かごの中」と決めておけば、お腹が空いたら鳥かごに戻りますが、どこでも餌を与えるようになると鳥かごに戻せなくなる可能性があります。

 

餌の内容としては、

スズメは好奇心も強く雑食なのでなんでも食べますが、ご飯はそのうにカビが生える可能性があります。

甘いもの(果物、あんこ、饅頭、クッキーなど)も大好きですが、高カロリーなものは肝臓や腎臓を傷めてしまう可能性があります。

シード類も、ゴマ類やひまわりの種(普通は大きすぎて口に入りませんが)は高カロリーなので食べ過ぎは良くありません。

 

 

スズメは賢く、長く保護していると人にも馴れるので、手元に置いておきたくなります。

でも、この子の人生(チュン生)を考えたら

「仲間と一緒に大空を飛び回り、恋をして子供を育てて、たくさんの仲間に囲まれながら何ものにも束縛されない自由な暮らしができること」

が幸せだと思いませんか?

 

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(まだまだ寒い2月の夕方)

 

次回は「放鳥に向けて」です。

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